未来に伝える魂の煌めき

国指定重要無形民俗文化財

土崎神明社祭の

曳山行事

 

歴史と思いが育んだ土崎の祭り

 

曳き山の歴史

 
  国の重要無形民俗文化財に指定されている「土崎神明社祭の曳山行事」は、土崎神明社の祭礼であり、7月20日・21日の両日、秋田の夏を熱く彩る「港曳山祭り」の愛称でも親しまれています。
 曳山行事が、今のような形で行われるようになったのはいつの頃からなのかは、はつきりとわかりません。しかし宝永2年(1705)、神輿渡御が行われたという記録があり、寛政元年(1789)の祭りを見た津村淙庵
の「雪のふる道」に、たくさんの曳山が曳かれている様子が描かれていることから、古くから現在のような曳山が神明社の祭礼のなかで行われていたことがうかがわれます。


曳き山の伝承


 文化財に指定されているのは二日間の祭りだけではなく、様々な神事、曳山を奉納する町内の準備作業等、祭りに関するすべてが、貴重な文化遺産として大切に守り伝えなければならないものです。
 また、長い歴史の中で伝えられてきた様々な技術も曳山の伝承を支える柱の一つであり、技術の保存、後継者の育成に努める必要があります。

奏でる

 

 土崎の曳山の囃子は、「港ばやし」と呼ばれています。「寄せ太鼓」「湊ばやし」「あいや節」などの曲があります。
 

土崎の人の心に染みついている「港ばやし」の音色。
「港ばやし保存会」を中心に保存・伝承活動が行われています。

 


舞 う


踊りは、祭りを彩る華として、また、皆が参加できる輪踊りとしても親しまれています。秋田音頭を筆頭に様々な踊りが町内で練習が重ねられ、披露されます。

 元気あふれる子供の輪踊りも祭りを大いに盛り上げます。

 

曳 く

 曳山は、土崎神明社の氏子である町内から神社に奉納されるものです。曳山を奉納する町内は、曳山委員長をはじめとした曳山役員を選任し、準備を進めます。曳山は、町内役員、音頭取り、振り棒、そしてたくさんの曳子が一つになり曳かれます。

 

音頭取り

  曳山は、「音頭上げ」によって動き出します。自慢の喉で「音頭上げ」を行う人を「音頭取り」と呼びます。音頭取りは現在、音振会、さゑづるや会(音振会加盟)を中心に伝承、後継者の育成活動が行われています。

 

振り棒

 振り棒は、4人一組で一台の曳山を担当します。ブレーキもハンドルもない曳山を一本の棒でコントロールします。現在、音振会、い組会等により伝承、後継者の育成活動が行われています。

 

創る 曳山の組立
 曳山の組立作業は、曳山を奉納する町内により、それぞれ行われ、その組立を指導する人を掛け師と呼びます。町内の人々が力を合わせて行う組立作業は、曳山の大きな楽しみであり、曳山を軸とした地域の心の絆を育むものです。

 

創る 人形の製作
 ぎょろりとした目、まるで生きているかのような生々しい肌の色と質感、鬼神を思わせる隆々とした筋肉。曳山の名物であり、勇壮な戦国絵巻が描かれる武者人形は、秋田市寺内、人形師として四代目の越前谷時春さんにより製作されています。港っ子は誰もが「曳山の人形が子供心に本当に怖かった」という祭りの記憶とともに成長していきます。

 



曳山行事を楽しむには


曳山の奉納
 
7月20日 、各町内の曳山は土崎神明社に奉納されます。午前10時頃から12時頃までの間、曳山が次々と土崎神明社に集る光景は圧巻です。

 

穀保町の御旅所
 
7月21日の昼前、神輿を迎えるために曳山は穀保町の御旅所に集ります。その年の曳山をすべて、一度に見れる絶好の場所です。古式ゆかしい御旅所祭りが行われ、神輿の到着・出発とともに囃子が一斉に奏でられ、荘厳な雰囲気に包まれます。

 

御幸曳山
 
穀保町より曳山は、本町通りを通って相染町に向かいます。これを御幸曳山と呼びます。本町通りに連なる曳山の迫力、途中で披露される様々な踊り。曳山の醍醐味が堪能できます。

 


戻り曳山
 
夕刻、相染町に到着した曳山は休憩の後、それぞれの町内に帰ります。これを戻り曳山と呼びます。力強い音頭上げとともに一台、また一台と出発する曳山。哀愁を帯びたあいや節の音色、揺らめく角灯篭の灯火、力の限り曳山を曳く曳子のじょやさの声。深夜12時まで続く躍動、感動、興奮。祭りは戻り曳山で最高潮に達します。

 

 

曳山行事の伝承のために

 全国有数の曳山祭りとして知られる土崎神明社祭の曳山行事は、地域の心の絆として、そして国の重要無形民俗文化財に指定される貴重な文化遺産として未来に伝えるべき郷土の宝であり、土崎神明社、土崎神明社奉賛会、町内会、関係団体をはじめ、市民総ぐるみの伝承活動を展開することが必要です。

 子供からお年寄りまで、世代を超えた地域の人々が曳山を軸として一つになり、祭りに情熱を傾ける心が町にあふれ、曳山にかかわる様々な技が優れた後継者により受け継がれていくことにより曳山行事は、未来への素晴らしい贈り物として伝承されていきます。

 

● 平成9年12月15日 国重要無形民俗文化財指定
● 指定文化財保護団体 土崎神明社奉賛会 土崎神明社内 018-845-1441
● 秋田市教育委員会文化課 018-866-2246